【コラム】館の魅力を生かすには?ミュージアムグッズにおけるマスキングテープを考える!

昨日の記事でブリヂストン美術館展のモネ「睡蓮」のマスキングテープについて書きました。

http://momonoke.wpblog.jp/museum-goods/vol85

三分割されている睡蓮の絵と、ミニサイズの睡蓮の絵が連続で繋がっていて、三分割の部分を繋げると一枚の睡蓮の絵になるらしいのですが、そもそも切れ目が分かりにくいし、こんな繋げ方をしてはマスキングテープという「メディア」の良さを生かせないだろう…というものです。

実は同じことを、札幌芸術の森美術館で開催されていた藤戸竹喜展のグッズでも思いました。藤戸さんの木彫りの熊があしらわれたマスキングテープです。

ちょっとこの写真では分かりにくいのですが、角度の異なる同じ木彫りの熊が交互に載っています。しかしこれは…模様と言えるのでしょうか。

マスキングテープにしなくても、ステッカーの方が安く、木彫りの熊の良さを生かすことができるのではないかと思います。

これらのグッズを見て思うのは、「マスキングテープを作る」という手段が、「来館者が鑑賞経験を持ち帰る」という目的とごちゃごちゃになっているのではないかということです。

定規、クリアファイル、鉛筆、ポストカード…それぞれの文房具などには特性があり、今回のマスキングテープで言えば、載せた資料の良さだけではなく、マスキングテープというメディア自体の良さもいかせていないと思いました。

ではその、マスキングテープの良さとは何か。私は個人的に、下記の2点があるかと思います。

①連続した柄を生かせる

②縦や横に長ーい資料を生かせる

言われてみれば当たり前?ではそれぞれを詳しく見てみましょう。

連続した柄を生かせる

まずはこちらのマスキングテープ。

東京都庭園美術館のマスキングテープです。こちらは、館内の装飾をモチーフとしマスキングテープの題材としています。

博物館の建築も大事な資料であり、博物館の財産です。私は館内の第一階段付近でこの装飾を見つけました。

このように、何か連続した柄であることで、どこから切ってもどんな長さでも使える特性が光ります。

https://twitter.com/naocafe/status/994206766572257280

https://www.rokkatei-eshop.com/store/ProductDetail.aspx?sku=68248

企業のグッズであればこちら、六花亭のマスキングテープがいい例だと思います。そう、あの紙袋がマスキングテープになったのです。

一からマスキングテープのデザインを考えるのは大変!そんなときは、初めからある連続した模様、モチーフを使用することで、無理なくマスキングテープの良さを生かせるのではないでしょうか。

縦や横に長ーい資料を生かせる

続いては最近話題のこちら。

そう、東京国立近代美術館のミュージアムグッズ、横山大観「生々流転」のマスキングテープ。

日本一長い画巻として有名ですが、この横や縦に「長い」ものをグッズにできるという意味で、マスキングテープはかなり有用だと思うんです。縦に描かれることが多い日本画とか、絵巻物とかね。

一番目の画像の右下にちらりと見えるのが、ダイオウイカのマスキングテープ。国立科学博物館のオリジナルグッズです。

こちらは言わずと知れた長ーい生物。まさにマスキングテープにぴったりな題材だと思います。

シールやステッカーにするのもあり!

もしも、マスキングテープの図柄をオリジナルで作るのが大変で、上手く載せられそうな資料がなかったとしたら…?

私はストレートに、シールやステッカーにしたらいいと思うんですよ。

ステッカーオールスターズ ¥1000

こちらは札幌芸術の森で開催された「リサ・ラーソン展」のときに購入したもの。

オリジナルグッズではないですが、こんな風に展示されていた品がシールになってずらっと一枚に並んでいるのなら、私なら速攻で買います。

シール好きなオトナ女子から子どもまで、幅広く購入が見込める商品になるのではと考えます。

おわりに

いかがでしたか?

そもそもマスキングテープ自体が文房具として愛されるようになってから、まだ日が浅いのでこのようなことが起きているのかと思います。

どんなグッズも、「来館者の経験や記憶を持ち帰るものであること」「資料や展示の魅力を広く知ってもらうためのものであること」が基本です。

マスキングテープもそのようなグッズになっていくことを、切に願っています。

それではまた次回!