「札幌市立大学 卒業制作・修了展 2019」を見てきました!

母校の卒業制作展に毎年行っているのですが、実は娘を連れていくのは初めて!

何となく、自分がどの作品が好きかとか、「こういうの作ってみたい!」というのがわかる年齢になったのと、芸術の森まで公共交通機関で連れて行っても体力的に耐えられるようになったので。

そして、展覧会を見に行ったら必ずそれぞれのベスト3を挙げるので、なーんか先輩っぽくて図々しいですが、今回もベスト3挙げさせてください。他にも気になった作品を挙げてみます。

娘のベスト3

生命感を感じさせる触覚デバイスの制作/安田朱里(研究科)

まずは娘のベスト3です。さすが細谷ゼミ!といった作品を最初に挙げてきました。人が不安になったとき、触れると安心する「生命感」の正体って何だろう?それを工学的に再現できないだろうか?というのが作品のテーマ。

娘は動物好きで、主に猫が好きなのですが、「この温かさ、触り心地、何かリアル―!」と感動していました。

よく言いますよね、「子猫を拾ったら腕時計をタオルでくるんで寝床に置いておくといい」って。これってまさにこの研究の肝だなーと思うんです。子猫が母親だと思って安心できる環境、私が研究に行き詰って猫を揉みたくなる状況(いや、これも不安状態ですから)…ぜひ製品化してほしいです!

流動的な魅力を持つ作品の制作/釜谷侑里(コンテンツ)

続いても細谷ゼミ作品を挙げてきました。スノードームやオイルモーションなど、何か物質と物質が混ざり合い溶け合っていくことの魅力を伝えてくれる作品。

アクリルの中に水が入っている…のはわかるけど、そのほかの材料にはどうやってたどり着くんだろう…と、作者の頑張りをねぎらいたくなった作品。

子どもとか、かなり好きなんじゃないかなーこの作品。ずっと見ていられると思う。「これは…作りたい!」と娘は連呼していたので、どうかワークショップやってください(笑)

マンガ表現における時代考証の研究 現代と40年前における札幌の生活文化の変化を通して/杉村瑞希(コンテンツ)

娘はどうやらコンテンツ勢の作品が好きだったみたいです。最後はこちら。

学校でも漫画上手い子いるじゃないですか。娘はちょうど何かその時期と言いますか、上手い子の絵のタッチを取り入れたりして、どんどん画風が変化している時期なんです。

この研究を見て「私は2010年代のがやっぱり好きだなー」と言っていたけれど、それはその時代によって「愛される表現」「上手いとされる画風」が違うわけで。逆を言えば、「この表現の古ぼったさは何だろう?」と分析していくきっかけにもなればいいなーなんて、親的に思った展示でした。

私のベスト3

オサムシが持つエリトラの魅力を伝える オサムシをグラフィックデザイン要素で分解・再構成する/旭夢稀(コンテンツ)

さて、私のベスト3です。「今年は昆虫の作品があるよ!」と事前にある先生からご教示いただいておりまして、楽しみにしておりましたこの作品。何を隠そう私も昆虫好き。ライトなファンですが。

昆虫をグラフィックデザインからとらえ直す、というのはこういう手法を使うのか…と感心してしまいました。こういう市立大学的なアプローチ、大事にしてほしい…。

実際に標本が展示されているのもよかった。オサムシ綺麗ですよね…その魅力が来場者に伝わると良いな…。

娘的には「こういう塗装ってどうやってやるの…?すごいきれい…」と言っていたので、よろしければいつかお会いした際にご教示いただけますと嬉しいです!!

聴覚制限を用いたホラーゲームの提案/前田風歌(コンテンツ)

続いてはこちら。私は普段ゲームやらないし、ホラーも決して得意な方ではなかったのですが、こちらは完成度が高かったので選ばせていただきました。

チカホ展でも娘とやってみたのですが、音が制限されるだけでこんなにも怖さ増強するのか…と娘とキャーキャーいいながら遊んでしまいました。

こういうゲーム作品って、プレイできるレベルまで作品を持って行くのがかなり大変だったと思うのですが、そういった意味でも完成度が高いなと。「普通に楽しめる」ってすごいことだと思います。過去にもゲームを作った作品はいくつかあったと思うのですが、特にこの作品は、ここまで完成させたこともすごいし、コンセプトや表現のレベルが高いなと思いました。

北海道を楽しむソフトクリームの研究/大瀧優菜(メディア)

今自分がやっているミュージアムグッズの研究に近いなと思ったので、最後に選ばせていただきました。

食べ歩きのガチ調査、楽しんでいるのが伝わってきます。そう、こういう自分がガチで好きで楽しんでいることをテーマにすると、実はライフワークになったりするから侮れないんだよね…なんて思います。

私も「モノを集めて、そこから何が言えるか」をすごく大事にしていますし、こういう自分の足で稼いだ一次資料を持っている学生を高く評価します。ソフトクリームのフィールドワーク。こういう研究を他大学に持って行ったら面白いと思いますよ。展示も可愛くて、娘も気に入っていました。

展示が印象的だった作品

児童のカッターナイフ使用の習熟度向上に効果的な教示方法の研究/吉田傑(研究科)

間もなく私は口頭発表をしなきゃいけないのですが、ポスター発表をする可能性だってあったんですよね。
そう考えて、「分かりやすいけど文字ばっかりにならず、美しくデザインされたポスターはないだろうか…」と思いながら見て回っていました。

こちらの展示、論文の内容が分かりやすくまとめられて、ビジュアルも美しく、一目でカッターナイフの研究だとわかるデザイン…素敵…!今回の論文展示の中ではずば抜けて分かりやすかったです。

ephemeral landscape あえかな音に耳を澄ますデザイン/坂元文(研究科)

今年ちょっと残念だなーと思ったのが、ダイナミックな展示があまりなかったな…という点です。皆さん研究として非常によくまとめられていたのですが、特に作品はもっとスケールのでかいものを見たかったし、子供に見せてみたかったなという印象です。

そういった意味ではこちらの作品があってよかったな…というのが正直なところ。さすが山田ゼミといった作風です。この場所にこの作品があることの美しさも際立っていました。

お水と現代ハラスメント すすきの某パブ潜入の記録及びコミックエッセイの制作/秋山りな(メディア)

こういう、「肉を切らせて骨を切る」といった作品は大好物で、プライベートと引き換えに自由を手に入れ、社会問題をあぶりだす勇気に拍手です。

「現代ハラスメント」をテーマにするなら、論考自体はもっと掘り下げられるかなと思いました。ただ、展示もコミックエッセイもよく作り上げられています。市立大のこういう作品の流れも大事にしてほしい…。

名作椅子に触れる

ここからは余談なんですが、娘を母校に連れて行った目的の一つがですね、名作椅子に座らせることだったんです。

今の娘の夢は「家具職人」。中でも椅子が気になるみたいで、座りながら「わ…これはホントにすごいやつや…」を連呼していました。

美しさと心地よさの追求は本当に難しいことだと思いですが、もし娘の夢が変わっていっても「あの椅子素敵だったな」と記憶に残ってくれたら嬉しいです。そういった意味で、今回は家具の展示も欲しかったなーと帰り道ぼんやり思いました。

いかがでしたか?これからも隙間時間を見つけては、他の大学の卒展も見せて歩きたいところ。皆さんも是非行ってみてください!また次回~!

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