ワビサビのお二人の作品を見ていると、その独特の粘度と湿り気にクラクラしてしまう。「またそんな自分しかわからない表現して悦に入っちゃって…」なんて言われてしまいそうなのだけど、本当だから仕方ない。
お二人の代表作であるタイプフェイス「ホルモン」の有機的な動きとか見ると、クールなアウトプットが多い(と感じる)札幌のデザイン界の中で、ベテランにして異質。
広告代理店のアートディレクターと、デザインプロダクションのグラフィックデザイナーが、日頃の仕事に満足できず、自分たちのやりたいコトだけをやろう!と結成したのが、デザインコンビ「ワビサビ」です。
とフライヤーにはあるものの、「やりたいコト」をやって出てきたものが、こんなにネットリとしたものなんて。デザインの源泉って何なの!?お二人の核には何があるの!?と詳しくお聞きしたくなっちゃいます。
ゴーギャンの熱帯夜
何でいきなりそんな話題を出したのかというと、ワビサビさんの結成20周年展「ワビサビはどこから来たのか? ワビサビは何者か? ワビサビはどこへ行くのか?」を見てきたからでして。
このタイトルがまたいいですよね。ゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」をもじったものです。
この20年の足取りを振り返るには他にないタイトルですが、あのゴーギャンの独特の湿気。熱帯夜のムッとくる生き物の臭い。それを展覧会タイトルに使うなんて、やっぱりネットリしてるよなぁと思うのです。
AIR BONSAIとわたくし
お二人の存在を知ったのは大学生になってから。もう10年前ですね。その頃からワビサビさんは周囲のデザインを志す学生にとって、憧れの存在でした。今もずっとそうなんだと思います。
私もフォローしていなかった知らない作品もあり、上記2作品は特にお気に入り。立体作品やグッズも紹介されていたり、図録などが販売されているので、今度は娘連れで行きたいと思います。「あ!これ見たことある!」って言いながら楽しめそう。
そしてこれですよねー。 「東京ミッドタウンアワード〜日本の新しいお土産〜 」で準グランプリを受賞した「AIR BONSAI」。グッズ好きとしてはマジ最高。最高峰(←語彙)。
こちら受賞したのが2008年で、商品化されたのがもっと後だったので、もう!どれくらい待ったことか!焦らすんだから!といったネットリした熱いファンなのです。娘がまだ幼くて買えなかったのですが、だいぶ大きくなったので買っちゃうぞー!いえーい!ってなテンションです。
その奥の「God is in the details 伊勢和紙掛け軸」も 過去の個展で拝見してから 大好きで、何度も目に焼き付けています。
おわりに
ここまでワビサビさんのネットリとした湿気について語ってきたけど、こんなに大きく作品を引き延ばしても負けない、その繊細さも本当にすごいんですよ。
どれもすべて「ワビサビらしさ」があるのだけど、いざ完成した作品を目の前にすると「神があらかじめこの形を決めて作りたもうた」ように、勝手な私は見えてしまう。それは神を宿らせ続けてきた、ワビサビさんの努力があってこそ。
私はデザイナーではない主婦なのだけど、「ありがたくいただいた自分の仕事に、神様を宿らせることができただろうか?」と考えさせられてしまう。何だか勇気づけられて、よし、文献調査頑張ろう!と図書館に向かったら休館日で、まさにオーマイゴッド!な一日なのでした。
長々と失礼しました!ではまた次回!